今日は朝早くから「守山の家」の現場です。
柱状地盤改良工事の一部やり直し工事です。
明日からの連休で養生期間を取り、連休明けからいよいよ基礎工事に入っていく予定です。
僕も明日から6日まで暦通りに休みます。
~エッセイのようなもの~
唐突ですが、「家」って様々だと思う。
当然と言えば当然。あらためて言うほどの事でもないですが、そのあり方は様々です。僕が会う人には時々話す事があるけれど、僕が若かりし頃(まだ鼻息の荒い青臭い頃)、機会がある度に、設計事務所で設計した住宅が如何に素晴らしく、ハウスメーカーで建てた住宅が如何につまらないかを人に力説していた。でも、いろいろな経験を積むうちにそんな事を力説する事がばからしくなってきた。何もハウスメーカーの住宅の素晴らしさに気づいたからではありません。僕が気づいたのは、「ハウスメーカーで建てた方が幸せな人」が世間には多く存在するという事実でした。コマーシャルで目にする機会が多く、そこら中に建っている住宅展示場(いわゆるモデルハウス)で目にするような住宅がいわゆる「家」であると捉えている人は多い。中にはこのハウスメーカーのモデルハウスが素晴らしい住宅の頂点にあり、設計事務所の設計と言えども、その求める物の頂点はあのモデルハウスのような家であると考えている人すらいる。僕が以前聞いた話では、ある建築家のところに「どこどこのハウスメーカーみたいな家を設計して下さい。」と設計を依頼しに来た人がいたそうです。それはとても不幸な出会いだと僕は思います。建築家も、もちろんクライアントもきっと不幸になるような出会いです(幸せか不幸かというのはその時の気持ちであり、なるとかならないとかいう問題ではないという疑問はありますが、それはとりあえず置いといて)。
そのクライアントに相応しい家の建て方がそれぞれにあると思います。設計事務所に頼んだ方が良い人、ハウスメーカーに頼んだ方がいい人、工務店に頼んだ方がいい人、セルフビルドで建てた方がいい人。
少なくともハウスメーカーのような家に疑問を持っていない方は、ハウスメーカーで建てた方が良いと思う。(言い切っていいのか・・・?)
僕は別に設計事務所で建てる家が、オリジナリティがあって良いとか、個性的で良いとか、インパクトがあって良いとは考えていません。クライアントの顔を思い浮かべながら、そのクライアントに相応しいと考える家を、ごく当たり前に、キチンとつくりたいと僕は考えているに過ぎません。工事費の高い安いはそれ程関係ありません。まあ、シビアに言えば関係あるんですけどね・・・。でも、工事費の高い安いというよりも、クライアントの実現したい事(=夢)がはっきりしていたり、何にお金を掛けるべきかわかっているクライアントかどうかといった事の方が大切だと思います。家の設計というものは意外なほどクライアント個人の影響を受けるものです。まあ、クライアントのお金でクライアントの家を建てるんですから、当然と言えば当然なんですが、ひとつひとつの要望とかそういったものではなく、クライアント個人の個性によるところが大きい気がします。だから僕の場合、ハウスメーカーのような設計を求められても決してうまくいきません。それは結果的にクライアントにとっても、僕自身にとっても良い結果であるとは言えません。もちろん、ここ数年はそんな設計を僕に求めるクライアントはいませんが、まだ実績も無いような駆け出しの頃は、たまにそういった設計が求められる事がありました。
おかげさまで僕は本当にクライアントの方に恵まれているなと実感します。それはクライアント個人と僕個人の信頼関係の上に成り立つもので、クライアントとの良好な信頼関係なしに良い仕事は成り立ちません。
僕が厳しいこの仕事を何とかやっているのもそんなクライアントとの素晴らしき出会いがあるからかもしれません。